「昭和の日」を
世代を超えて未来を考える日に
改名を繰り返した 珍しい祝日
4月29日は、「昭和の日」の日です。
その意味や成り立ちまでは意外と知られていないこの祝日。
「天皇誕生日」や「みどりの日」の方が、馴染みがあるという人もいるでしょう。
もともと4月29日は、昭和天皇の誕生日です。昭和23(1948)年から昭和63(1988)年までは「天皇誕生日」の祝日でした。
昭和64(1989)年、昭和天皇が崩御し、「天皇誕生日」は平成の天皇(現在の上皇さま)の誕生日である12月23日へ移動。
それまで「天皇誕生日」だった4月29日は、植物に造詣の深かった昭和天皇にちなみ、「みどりの日」となりました。
それが、平成19(2007)年、国民の祝日に関する法律の改正によって「昭和の日」となり、「みどりの日」は5月4日に変更されたのです。
このように、4月29日は20年足らずの間に3回も名称が変更された稀な祝日です。世代によってイメージや認識が異なるのは、こういった背景も関係しているのでしょう。
内閣府によると、昭和の日は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日として制定されました。
昭和は、未曾有の戦争を経験し、苦難を乗り越えて高度経済成長を迎え、人々の暮らしや価値観が変化した激動と復興、変革の時代。
現在の平和や繁栄も、昭和という時代があったからこそ築かれたものだということを忘れないよう、この日ばかりは子どもや孫に思い出話をするのもいいかもしれません。
昭和が世代間ギャップを
乗り越えるキーワードに
最近、昭和という言葉をよく耳にするようになりました。
一時的な流行に終わらず続いている昭和レトロブームもその一つ。昭和時代の生活や文化を思い起こさせるデザインやモノ、空間がZ世代といわれる20歳前後の若者たちから注目されており、事実、純喫茶やフィルムカメラ、銭湯などはとても人気があります。
昭和時代のデザインやモノが斬新にうつる理由として、鮮やかな色使い、ポップで華やかな装飾などが挙げられます。しかし、ブームを牽引しているのは、それだけではないようです。
パソコンやスマートフォンを持ち、SNSでコミュニケーションを取ることが当たり前。そんなZ世代の暮らしは、一見便利で完璧です。しかし一方で、味気なさや無機質さ、冷たさを感じていて、昭和の不完全さから生まれる愛着や特別感が支持されているのです。
そうとわかれば、昭和世代とZ世代で共感できるものもあるはず。好きだった雑貨、洋服、音楽を話題に、「昭和の日」を家族や親族とゆっくり話をする機会にするのもいいですね。
そして、楽しい会話の中で昭和がどのような時代だったかを伝え、平和を願い幸せについて考える機会を提供できれば、意味深い祝日になることでしょう。
※内閣府-各「国民の祝日」について
https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou/kaku.html#showa
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